日本かぼちゃ 栽培 育成 収穫 南瓜

日本カボチャを栽培しはじめてから、二度目の年が過ぎ去った。苗は用いず、三年前の秋、「はやと」の名称で販売されていた地元産の実から採取した種子をいわゆる「F1」として栽培を開始した。実は大柄にもかかわらず味は良好で、少し食塩を加えた水で蒸し炊きにした状態で、日本カボチャ特有の控えめな風味に甘みも充分に感じられた。但し、30cmを上回る実の大きさや柿色という表皮の色合いから見て、「はやと」とは異なる品種ではないかと思われるのだが、自らの耕作地に適した固定種(固有種)を作り上げてゆくのが目標なので、地元産であれば問題ない。

a fruit of a squash

栽培に利用できるのは、いささか手狭な、もともと日本庭園として造形された場所である。土質は酸性かつ粘土質で栽培できる野菜が限られ、西洋カボチャの育成には失敗した。そこで品種を切り替えて、また一般に流布している栽培方法には捕われず、経験をもとに独自の方法で行なって見た。株ごとの間隔を狭め、株数を増やす一方、日本カボチャには必要な摘芯は行わず、一株あたりの収穫量を抑制する。追肥は原則として行わないが、冬場に充分な施肥をし土質を高めておく。雑草は随時取り除き、成長中に地面を乾燥させないよう注意する。受粉はすべて昆虫に任せ、人工受粉は行わない、というような方法で、それほど特別なことをするわけではない。

harvest the first year

結果は良好で、葉も大きく成長し草勢がよく、八月の初旬から実の収穫が可能となった。栽培に用いた種子を反映し、実は最大で直径が31cm、重量が約7kgまで成長したが、この手の大きな実は概して味が薄く、最大級ではほぼ無味だったのが残念だ。その一方、中小サイズの味は良好で、甘みも強い。九月に受粉した実は、主に黒皮として熟成した。最終的に多少不出来なものも合わせ、大小23個の実が収穫出来た。印象深かったのは、同様の種子を元にしたにもかかわらず、株によって葉の状態や実の出来に大きなばらつきが生じたことで、安定した固定種を得るためにはやはり年を重ねる必要がありそうだ。何と言っても当年最大の収穫は、西洋カボチャが育たなかった場所での栽培可能性が確認できたということに尽きる。

harvest the second year september

栽培二年目に当たる本年は株数を半数に減らし、収量を二倍にするよう計画した。種子は前年の収穫で無味だが最大であった実から採取したものを使用した。結果的には良好に推移したが、春に乾燥した気候が続き、発芽が遅れ育成を断念した株が出た。気候が正常化するに連れ状況は回復し、地面は元気に成長するカボチャに覆われた。本年は九月と十月のある時期にまとめて収穫し(それぞれ14個と8個)た。昨年と同様、九月に受粉した実は主に黒皮として成熟した。

harvest the second year october

概ね計画通り、合計24個の収穫を確認し、昨年より早めの十月半ばに栽培を終え、株を早々に撤去した。実は昨年に比べ小粒で最大でも約24cm程度に留まったが、株と同様に粒の安定が伺え、固定種に一歩近づいた感がある。

カボチャは連作が可能な野菜だが、耕作地の状況を考慮して、来年は一旦栽培を休止し土地を休めるか、株数を極度に減らすことになるかもしれない。日本カボチャの実は収穫してから食するまで少し取りおく必要があるが、反面日持ちがよく、気温の低下に任せ放置しておけば、翌年、春の足音が聞こえはじめる頃まで保存できる。虫害はほとんどなく、少々のウリハムシに、九月半ばを過ぎると出始める蝶類の幼虫、それに花粉に付く小蟻程度で、少なくとも私の環境下では、無農薬で栽培できる。決して良好とは言えない耕作地でも育つ日本カボチャ、来年は一旦休むにせよ、長く付き合えそうな野菜である。

アップル ミント 乾燥 保存 栽培

かつて北アフリカで体験したミント茶は美味ではあったが砂糖を加え過ぎで少々甘すぎる感があった。そこで好みに合った味で楽しむためにも、自ら栽培することにした。最初は当地で体験した方法に即し、但し砂糖は控えめに、茶の材料として獲りたての生のミントを使用していた。ミントは通常ハーブとして、茶やちょっとした料理の添え物として利用されているようだが、自ら栽培、収穫し色々と試してみると、単なる香り付けという範囲を越えて、食材としても利用価値があること、また獲りたての生のものよりも、むしろ一旦乾燥させてから使うほうが何かと便利であり、味、香りともに私の好みにあった仕上がりとなることがわかってきた。

現在は味、香り共に比較的淡白なアップルミントを栽培し、収穫後一旦乾燥させたものを茶としてだけではなく、様々な食材として恒常的に利用している。乾燥は茎と葉に分けて行ない、食するには不適な固い茎は茶として、柔らかい葉は料理の素材として使用する。茶は主に無糖で楽しみ、葉は甘めの味付けで、惣菜や菓子として調理する。比較的淡白なアップルミントとはいえ、それなりのハッカ成分は存在し、その葉を一般的な野菜として大量に用いるのには不向きだが、それだけで惣菜の一品を形作る、応用範囲の広い料理素材であることに間違いない。

apple mint

さて、このアップルミントの乾燥だが、意外と時間を要するので注意が必要だ。晩夏から秋の常温で保存した場合、一週間程度も放置しておけば、あたかも完全に乾燥したかのような状態になる。しかし実際にはその状態では完全な乾燥とは言えず、そのまな袋や缶等で保存してしまうと、やがて変色し味覚が低下する。長期保存を前提に常温で自然乾燥に任せ完全に乾燥させるには、私の環境下では、一ヶ月程度の時間が必要になる。

アップルミントを含め、ミントの栽培は至って簡単で、事実上放置して置くだけで地下茎を伸ばし旺盛に増えてゆく。多少の雪を被っても越冬し、春になると蘇る。ミントの栽培でむしろ重要なのは株のコントロールで、増えすぎないよう絶えず注意を怠らないことが重要だ。

ミニトマト 青 未熟 ピクルス

自ら野菜を栽培する醍醐味のひとつは、市場には出回りにくい食材が得られることだ。緑色の未熟なミニトマトもそうした貴重な収穫物で、ピクルスとして夏場の食卓を彩ってくれる。簡単に煮沸した実を米酢に約七日程漬け込むだけで、美味なピクルスができ上がる。

その未熟なミニトマトだが、それには「二つの種類」が存在し、その一方は加工しても食するのが困難なので注意が必要だ。ここで言う二つとは品種のことではなく、収穫時期による違いを意味している。実際に食材として利用できるのは夏場の生育期に早めに収穫する実であって、秋が深まり未熟なままに残された実は食するのが困難だ。前者は収穫後に常温で放置して置くと色付き熟しはじめ生食も可能になるが、後者は色付くこともなく、緑色のままにやがては腐敗する。

ミニトマトの実には「トマチン」と呼ばれる、大量に摂取すれば害を及ぼす有毒な成分が含まれるのだが、熟するに従い減少する。その「トマチン」が未熟な実の味覚を貶める原因のようだが、なぜ夏場に早期収穫する、自ら熟成する力を有する実と晩秋まで放置した未熟な実との間にそうした差異が生じるのか、その原因を述べるのは私には困難だ。だが経験上、そのような差が生じるのは確かであり、後者はどのように加工しても味の改善は望めなかった。写真はそのような晩秋まで放置した株を撤収する際に収穫した未熟な実で、常温で保管し年を越えてから撮影したものだ。

cherry tomatoes

ミニトマトの株を夏の終わりと共に早々と撤収するのはそのためで、耕作地は単に休ませるか、別種の秋冬野菜に場を譲る。ちなみに、トマト、なす、ピーマン、じゃがいも等の「ナス科」の野菜は連作には不向きで、トマトの場合、三年程度間を置く必要があると言われているが、上述した未熟な実の状況と、連作との関連性は伺えない。

かぼちゃ 葉 花 試食 南瓜

「かぼちゃ(squash)」は代表的な緑黄色野菜として日本でも広範に食されているが、日本種、西洋種を問わず、食材として用いるのは果実の、それも果肉部分に限定されている。一方、諸外国に目を移すと、ナッツとして普及している種子はもとより、アジア南部から西欧に至るまで、葉や新芽そして花も食材として利用されている。そこで、日頃敬遠されているそれらを試食してみることにした。

日本の青果市場では果実以外の流通がないが、幸い「和かぼちゃ(星形の実が付く品種)」を無農薬で自家栽培しているので、その葉や花を採取して試食した。現在ではより甘く引き締まった実が特徴の西洋種が一般的で、「和かぼちゃ」を見かける機会が少ないが、外見上両者の葉や花に実質的な差は見られない。以下は、あくまでも私個人の状況と私見に基づく記述である。

 a fruit and leaves of a squash

収穫したかぼちゃの葉、花は、新芽はいずれも生食とはせず、加熱調理して試食した。葉は葉柄と分け、花は雄花を使用し、新芽はそこに付く小さな葉や実もそのまま調理した。それぞれの素の味を知るため、調理はできるだけ簡単な方法を取ることにした。いずれの素材もしばらく真水に漬け簡単にアク抜きをした後、葉、葉柄、新芽は少量の塩を加え水炊きにし、花は溶解を防ぐため小麦粉に練りこんで焼き上げた。

葉は風味が濃く、炊き汁も緑色になる。少々独特な食感があるが、栄養価は高そうで、炒め物や揚げ物等も考えられる。葉柄は淡白で癖がなく、とりわけ和風炊きものが合いそうだ。柔らかい新芽部分は最も有用な部分だと言えそうで、様々な調理法が期待できるのではないか。

flowers of a squash

花は緑色の「がく」や花柄を取り除き、すべて使用した。全体を細かく切り刻み、少量の塩を加えた薄力粉で潰すように練った生地を、「お好み焼き」のように焼き上げた。そのままでは味が薄く、ほのかに甘みが感じられる程度だが、そこに砂糖や蜂蜜をまぶすと、独自の味覚の美味な菓子へと変貌した。花は野菜と言うよりも、むしろ果物のような、甘い菓子やケーキ等の素材としての扱いに向いているようだ。花自体に苦味等の気になる味覚はないが、生地に炭酸を加えると、少々異様な臭味が発生した。ベーキングパウダーの使用は試していない。なお、花柄は少々固さが感じられるが、葉柄と同様に扱える。

かぼちゃの葉や花、いずれも十分に夏野菜として利用できそうな食味である。果実よりも、むしろそれらの採取を前提とした栽培も充分に価値があるだろう。様々なレシピに応用できそうだが、市場での入手が困難な場合、自分で栽培する必要に迫られる。栽培自体は難しくはないが、多少きめ細やかな配慮が必要で、とりわけ葉はカビの発生に絶えず注意を払い、表面が白変して来たものは早々に取り除く。このカビは水で洗うと落ちるので、裏側も確かめ、ひどくないものは食材として利用した。

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