乾燥ドッグフードと油脂成分

ここで言うドッグフードとは、一般的なドライ粒状の乾燥餌のことであり、缶詰やその他パッケージの半生製品のことではない。ここではそのドライ状のドッグフードについて、味の良し悪しなど理解し得ない部分は省きながら、いくつかの製品を実際に手にして考えてみた。このような食物と水だけで、生物が健全に生きてゆくことは可能なのだろうか。総合栄養食と謳われるドライフードだが、その内容には納得しかねる部分が少なくない。

飼い主が如何に擬人化しようとも、イヌは別種の生き物である。このような穀物等を主原料とする低タンパクな食物が、食肉目イヌ科の生物の素性に合致するのだろうか。一連のドライフードを成分からのみ判断すると、寧ろその飼い主である人間に向いているような気がしないでもない。人間における栄養バランスが摂れた食事を、炭水化物約50-60%、脂質約20-25%、たんぱく質約15-20%の割合であるとするならば、とりわけ安価なドライフードがこれに相当する。無論それだけで判断は出来ないが、不可思議な話ではある。

ドライフードを目の前にし、この決して安価なものではない総合栄養食なるものを愛犬に与えるのならば、やはりサルモネラを考慮しながら、安価な生肉を主体としたメニューを組み立てるのが賢明ではないかという感情が先に立つ。言うまでもなくイヌは無機質の人形ではなく生きた他種の生物であり、独立した個性をも持つ。この単純な事実を理解し、人間文化に立脚する多少の不都合に堪えるだけの心構えが愛犬家にはまず必要になる。

さて、そのイヌやネコ用のドライフードだが、ユーチューブにその生産過程を記すビデオがある。おそらくどこも、この程度の衛生環境で生産されているのだろうが、やはり人用菓子等の生産工場とは一瞥できる差異がある。素材に関してその良し悪しをイメージからは判断できず、結局この映像から製品の適用性や成否は語れない。

こうした生産過程を経て、小奇麗なパッケージで販売されるドライフードだが、そこには必ず成分表示が記されている。タンパク質や各種ビタミン、とりわけ添加物にわれわれは注目しがちだが、私はそれよりも脂質に着目した。脂質はそれらとは異なり、酸化防止剤の有無に加え、目視でも判断できるドライフードに含まれる数少ない構成物質のひとつである。酸化防止剤はこの種のドライフードで最も問題含みの部分であり、以前問題となったメラミンや残留農薬とは異なり、多くの場合着色料やフレーバーと共に添加されている。とりわけ安価な脂質の割合が多い製品には必ず添加されているのが酸化防止剤で、中でもBHA、BHTとエトキシキンの有無に着目し、それら合計量で150ppm(犬用はエトキシキン75ppm)という決まりに惑わされることなく、記載がある製品はすべて使用は控えるべきではないか。実際エトキシキンには危険性証明がない抗酸化作用を持つ物質で、当然ながら人間への使用は禁止されている。

ドライフードの脂質の実体は製品に水を加え、浮かんだそれを軽く撹拌するかスプーンで軽く叩くことで確認できる。スプーンにこびり付くラード状のものが脂質で、袋に表示されている油脂類か、鶏や肉類のミールに含まれる油脂だと思われる。低脂肪と表示される製品でも意外と多いので、まずはそれを確認し与えるかどうかを判断するのもよいだろう。ドライフードにおいてはタンパク質よりも、むしろこの油脂に生肉との類似が感じられる。

かりんの砂糖漬け

かりん(花梨、Pseudocydonia sinensis)は、バラ科の植物で、秋に黄色い実を付ける。実はそのままでの生食には不向きで、一般的な用途しては、かりん酒が知られている。他には独特な旨味を持つジャムとしての用途や、砂糖漬けがある。ジャムは美味だが、一般の果物のとは異なるプロセスが必要で、少々時間を要する。そこで私はかりんを食する時には、火を使うこともなく、簡単にできる砂糖漬けにすることが多い。

作り方は極めて簡単で、細かく切ったかりんの実を適当な濃さの塩水に漬ける。その際、酢を少々加えても良い。漬ける時間は五時間とも、一日とも言え、厳格な管理は必要ない。一週間ほど漬けてみたことがあるが、別に問題も利点もなかった。かりんの実は切るとすぐにリンゴのように茶変するので、それを防ぐための処置である。次に漬けた水を切って適度に乾燥させ、それを適量の砂糖とまぶし、ガラス瓶に入れ漬け込むが、加熱を一切行わないので、酢を少々加えている。

ここでは使う塩、酢、砂糖等の量を適量としか表示していない。かりんの砂糖漬けは、経験上かなりの柔軟性が感じられるので、量は個々の状況や好みに応じて、自らの判断に委ねるべきだと思い、あえて表示は控えている。

pseudocydonia

漬けたかりんは秋冬の暖房のない室内温度(概ね15度から5度以下)で保存する。二日目から食べられるようだが、最低でも一週間は漬け込んでいる。写真手前の瓶が、漬けてから一ヶ月以上経過したもので、あとは数日前の漬け込みだが、見た目に差異は感じられない。なお、私は事前にかりんを漬けておいた塩水は捨てずに、白米を炊くのに用いている。かりんの芳香豊かな、独特な味に炊き上がる。

どんぐりの保管と用途

どんぐり(団栗、acorn)とは、ブナ属、コナラ属、シイ・マテバシイ属、クリ属やカシの仲間の果実(堅果)のことで、種子ではない。

落ちたどんぐりには小さな穴が開いているものが少なくない。これは昆虫が堅果から出る際に残す穴で、多くはハイイロチョッキリと呼ばれる虫の幼虫が開けるものだ。ハイイロチョッキリは、栗に付くクリシギゾウムのようなゾウムシ科の昆虫で、親虫は堅果(どんぐり)がまだ青い育成中に卵を産み付け、堅果が地面に落下すると成長し太った幼虫がそこから抜け出し、地中へと潜る。幼虫は土中で蛹となり、夏なると成虫として出現し、このサイクルを繰り返す。

どんぐりは食することができるが、シイ属のものにしてもアク、つまり苦味が多く、独特の味がある。どんぐりの保存法だが、まず水に三日程浸透してこうした昆虫を除去してから、天日に七日程干すという方法が紹介されることがある。だがそのような方法で、ハイイイロチョッキリ等の昆虫を除去することは困難だ。堅果に侵入し、内部で成長するこうした昆虫は、そのまま炒る等の方法で加熱殺虫する以外に対処方がなさそうだ。この炒った実はアクを抜いていないので、その時点であたかもピーナッツのように食するのは困難で、あくまでも保存に供するための手段としての炒りである。

私はどんぐりを食品用途にする場合、炊き込みご飯の具として、少量ずつの利用に限定している。殻を除去し、必要な量をあらかじめ数日以上浸水させる方法で、ある程度アクを減少させた後、具のひとつとして米と炊き込む。多少の苦味は残るが、充分にその独特な味を堪能できる。むしろ具材特有の苦味をひとつのスパイスとして、私は利用する。

米に付く代表的な害虫

代表的な五穀である米に付く害虫には多くの種類が存在するが、一般家庭で普段目にするのは、コクゾウ虫、コクヌストモドキ、ノシメマダラメイガとその幼虫の三種に限定されるのではないだろうか。それらの特徴をWikipediaを参照してまとめてみた。

コクゾウムシ(穀象虫)。コウチュウ目(鞘翅目)オサゾウムシ科のゾウムシの一種で、体長2.1–3.5mm。イネ科穀物の有名な害虫として、世界各地に生息。食しても無害。
コクヌストモドキ。ゴミムシダマシ科の甲虫で、体長3-4mm。成虫は長命で、3年以上生息する場合があり。穀物等の貯蔵食物に付く世界的な害虫で、動物行動学及び食品安全研究のモデル生物。アレルゲンになるが、病気拡散等の報告なし。
ノシメマダラメイガ。チョウ目メイガ科に属する昆虫で、ノシメコクガとも表記される。梅雨時から夏の高温多湿時に、保存中の玄米に見られる小さな蛾。体長7-8mm。幼虫は植物油脂が豊富な種子を食害する害虫として知られ、玄米の胚芽部と糠層を食害。毒性はなく、食しても無害。

いずれも人体に悪影響を与える毒を持たず、病気を媒介することもないという情報が、消費者にとって最大の安堵をもたらすのではないだろうか。いずれにせよ口に入るのは、調理時の高熱で死んだ亡骸であり、無駄に米を捨てる必要はなさそうだ。実際のところ、このような情報は長い年月に渡る人間と穀物との関係から理解されてきた常識であり、虫の存在自体が、農薬の少ない環境での生育の証であるとも言える。とはいえ、心情的には見たくも食したくもない昆虫だ。

昆虫は温度が二十度を越えると活動的になるので、春から秋にかけて、米の保管温度には注意が必要だ。3分程度の精米や籾殻の付着する玄米では虫の繁殖が早く、夏秋を過ぎ袋を開けると内部に大量発生していることがある。

こうした虫の予防処置としては、例えば十キロ程度のナイロン袋で売られている精白米等、保管するケースに昆虫が嫌う臭いを発する鷹の目(にんにく、わさび)を少量、紙封筒等に入れ、同置するとよいと言われている。三十キロ程度の米袋に保管する玄米等に大量に発生した際は、コクゾウムシ虫の場合、新聞紙やブルーシートに薄く広げ天日干しすると、米から出てゆく。時間は天候等にもよるが、概ね三十分程度だろうか。このような状況の米に混じる白い粒は、虫が食べた後に残る米粉で、そちらも食するに問題はないと言われている。

kokunusutodamashi

私はいずれの害虫の発生も体験してきたが、とりわけコクヌストモドキの大量発生では、三十キロ米袋の内側上部が虫に覆われ真っ黒になり、蟻の固まりを上回るその量に驚かされた。但し、コクゾウムシやコクヌストダマシは保管袋(容器)の上方へと登る傾向があるようで、固まって群がる表面に比べ、下部へ向かう程に数は減少するようだ。したがって、上部に群がる虫をまず取り除けば、最初に予見される程の被害ではない事も少なくない。私はこうした米に出くわした場合でも破棄することはせず、徐々に虫を除去しながら全て消費する。

日本かぼちゃ 栽培 育成 収穫 南瓜

日本カボチャを栽培しはじめてから、二度目の年が過ぎ去った。苗は用いず、三年前の秋、「はやと」の名称で販売されていた地元産の実から採取した種子をいわゆる「F1」として栽培を開始した。実は大柄にもかかわらず味は良好で、少し食塩を加えた水で蒸し炊きにした状態で、日本カボチャ特有の控えめな風味に甘みも充分に感じられた。但し、30cmを上回る実の大きさや柿色という表皮の色合いから見て、「はやと」とは異なる品種ではないかと思われるのだが、自らの耕作地に適した固定種(固有種)を作り上げてゆくのが目標なので、地元産であれば問題ない。

a fruit of a squash

栽培に利用できるのは、いささか手狭な、もともと日本庭園として造形された場所である。土質は酸性かつ粘土質で栽培できる野菜が限られ、西洋カボチャの育成には失敗した。そこで品種を切り替えて、また一般に流布している栽培方法には捕われず、経験をもとに独自の方法で行なって見た。株ごとの間隔を狭め、株数を増やす一方、日本カボチャには必要な摘芯は行わず、一株あたりの収穫量を抑制する。追肥は原則として行わないが、冬場に充分な施肥をし土質を高めておく。雑草は随時取り除き、成長中に地面を乾燥させないよう注意する。受粉はすべて昆虫に任せ、人工受粉は行わない、というような方法で、それほど特別なことをするわけではない。

harvest the first year

結果は良好で、葉も大きく成長し草勢がよく、八月の初旬から実の収穫が可能となった。栽培に用いた種子を反映し、実は最大で直径が31cm、重量が約7kgまで成長したが、この手の大きな実は概して味が薄く、最大級ではほぼ無味だったのが残念だ。その一方、中小サイズの味は良好で、甘みも強い。九月に受粉した実は、主に黒皮として熟成した。最終的に多少不出来なものも合わせ、大小23個の実が収穫出来た。印象深かったのは、同様の種子を元にしたにもかかわらず、株によって葉の状態や実の出来に大きなばらつきが生じたことで、安定した固定種を得るためにはやはり年を重ねる必要がありそうだ。何と言っても当年最大の収穫は、西洋カボチャが育たなかった場所での栽培可能性が確認できたということに尽きる。

harvest the second year september

栽培二年目に当たる本年は株数を半数に減らし、収量を二倍にするよう計画した。種子は前年の収穫で無味だが最大であった実から採取したものを使用した。結果的には良好に推移したが、春に乾燥した気候が続き、発芽が遅れ育成を断念した株が出た。気候が正常化するに連れ状況は回復し、地面は元気に成長するカボチャに覆われた。本年は九月と十月のある時期にまとめて収穫し(それぞれ14個と8個)た。昨年と同様、九月に受粉した実は主に黒皮として成熟した。

harvest the second year october

概ね計画通り、合計24個の収穫を確認し、昨年より早めの十月半ばに栽培を終え、株を早々に撤去した。実は昨年に比べ小粒で最大でも約24cm程度に留まったが、株と同様に粒の安定が伺え、固定種に一歩近づいた感がある。

カボチャは連作が可能な野菜だが、耕作地の状況を考慮して、来年は一旦栽培を休止し土地を休めるか、株数を極度に減らすことになるかもしれない。日本カボチャの実は収穫してから食するまで少し取りおく必要があるが、反面日持ちがよく、気温の低下に任せ放置しておけば、翌年、春の足音が聞こえはじめる頃まで保存できる。虫害はほとんどなく、少々のウリハムシに、九月半ばを過ぎると出始める蝶類の幼虫、それに花粉に付く小蟻程度で、少なくとも私の環境下では、無農薬で栽培できる。決して良好とは言えない耕作地でも育つ日本カボチャ、来年は一旦休むにせよ、長く付き合えそうな野菜である。

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